【2024年4月から】労働条件明示の制度改正について
こんにちは。小野社会保険労務士事務所の小野です。
GWになり電車が随分空いています。5/1、5/2は平日だったのですが、有給休暇を使われている方が多いんですかね?最大9連休の方もいるようで、ちょっと羨ましいなと…。まぁ、9連休で何するの?と言われたら、すぐには思いつかないんですけどね。苦笑
さて、私の話はこの辺にしておいて、今回は来年4月に行われる労働条件明示の改正についてご紹介したいと思います。
労働条件明示とは
そもそも労働条件明示とは何なのか?についてですが、労働基準法では、労働契約を締結する際に契約期間や就業場所、従事する業務、賃金などについて、労働者に対して明示しなければならないとされています。
そして、上記のような内容については、全部ではありませんが、書面で労働者本人に交付しなければならないとしています。経営者の方からすれば、雇用契約書という言葉の方がイメージが湧くかもしれませんね。
賃金や始業終業時刻、休日等々、その辺りを書いておけば問題無いんでしょ?と思われる方もいるかもしれませんが、実は労働者に明示しなければならない事項は法律できっちりと決められています。
長くなりますのでここでは明示事項の詳細は割愛しますが、雇用契約書や労働条件通知書は、必要事項が抜けていたり、漏れていたりするケースが比較的多いので注意してください。
法的な問題もあるのですが、そのような抜けや漏れがある雇用契約書や労働条件通知書を渡された労働者はどう思うでしょうか?労働者との信頼関係にも繋がる部分ですので、今一度しっかりチェックしておくことをお勧めします。
2024年4月からの改正
簡単に労働条件明示に触れたところで、では、2024年4月からは何が変わるのでしょうか?2024年4月からは既存の労働条件の明示事項に下記の①から④が追加されます。
①就業場所・業務の変更の範囲
全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、雇い入れ直後の就業場所と業務内容に加え、その「変更の範囲」についても明示することが必要となります。なお、この「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所と業務範囲を指します。
②更新上限
有期労働契約の締結と更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間又は更新回数の上限)の有無とその内容の明示が必要となります。また、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新たに設ける場合や更新上限を短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ(更新上限を新たに設ける・更新上限を短縮する前に)説明することが必要となります。
③無期転換申込機会
無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨を明示する必要があります。なお、「更新のタイミングごと」についてですが、初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も有期労働契約を引き続き更新する場合は、その更新のたびに無期転換申込機会と④の無期転換後の労働条件の明示が必要となりますので注意しましょう。
④無期転換後の労働条件
無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要となります。(更新のタイミングごとの説明については③と同じ。)
まとめ
最後に今回ご紹介したに労働条件明示の制度改正について簡単にまとめておきます。
- 労働契約を締結する際に契約期間や就業場所、従事する業務、賃金などについて、労働者に対して明示しなければならない
- 労働者に明示しなければならない事項は決められている
- 2024年4月からは労働条件の明示事項に「就業場所・業務の変更の範囲」、「更新上限」、「無期転換申込機会」、「無期転換後の労働条件」の4点が追加される
ブログ内でも書かせていただきましたが、雇用契約書(労働条件通知書も)は必要な記載事項が漏れているケースがあります。来年からの改正もありますので、心配な場合は専門家にご相談ください。