【令和3年度】大阪労働局行政運営方針のポイントについて

先日のブログで厚生労働省の「令和3年度地方労働行政運営方針」をご紹介しましたが、大阪労働局は4月19日、厚生労働省が策定した方針を踏まえて、管内の事情に即した「令和3年度大阪労働局行政運営方針」を公開しました。

●参考:前回ブログ(令和3年度地方労働行政運営方針のポイントについて)

https://ono-sr.info/2021/04/15/blog-45/

労働局が今年度の課題としてどのようなことを考えているのかを把握し、社内の取り組みに生かすことは、適正な労務管理を行う上でも有効な方法ですので、今回は「令和3年度大阪労働局行政運営方針」について取り上げてみたいと思います。

大阪労働局行政運営方針の概要

まず大阪労働局行政運営方針の概要についてですが、大阪労働局では、「誰もが安心して働き活躍できる元気な大阪」をスローガンに働き方改革を中心とした行政施策を推進するとしており、そのための取り組みとして、次の3つの大きな柱を掲げています。

  • 働き方の定着に向けて~多様な人材の活躍促進と誰もが働きやすい労働環境の整備~
  • 誰もが活躍できる良質な雇用機会の確保
  • 安全に安心して働くことができる労働環境の整備

ポイントになりそうな事項

概要は上記の通りですが、次にもう少し掘り下げて注目すべき内容を確認してみたいと思います。まず「①働き方の定着に向けて~多様な人材の活躍促進と誰もが働きやすい労働環境の整備~」についての具体的な取り組み内容についてですが、令和3年度の重点取り組みとして、以下の事項が掲げられています。

  • 女性・高齢者等の就業を中心とする多様な人材の活躍促進
  • テレワークの普及促進
  • コロナ禍においても人手不足な業種における人材確保・定着を目的とした働き方改革
  • コロナ禍においても長時間労働等の過重労働が生じている事業場への集中的対応

女性・高齢者等の就業に関してですが、大阪府の女性の有業率は全国45位(平成29年)となっており、また、大阪の65歳以上の高齢者の有業率は、上昇傾向にはあるものの男女ともに全国平均を下回っている状況です。大阪府域の弱みとなっている女性・高齢者の就業に関し、その活躍推進に向け、労働局は令和3年度に重点的な取り組みを行うとしています。

また、長時間労働等の過重労働についてですが、近年、労働者全体としては長時間労働が抑制されているものの、個々の事業場や労働者をみると、過重労働が減少しているとは言い難いとしており、依然として過重労働対策は重要性が高いと位置づけられています。新型コロナが猛威を振るう中ではあるものの、その緊急性や重要性から、月80時間超の時間外労働を行う事業場に対しては、確実に監督指導を行うとしています。さらに、違法かつ重大・悪質な過重労働事業場に対しては、過重労働撲滅特別対策班(通称「カトク」)による捜査も行われることになります。

次に「③安全に安心して働くことができる労働環境の整備」の具体的な取り組み内容にも触れておきたい思います。安全に働くことができる職場の実現に向け、死亡災害の撲滅を筆頭に様々な施策が展開されることになります。

  • 建設業における「命綱GO運動(いのち つなごう運動)」を展開
  • 1月から3月期の死亡災害を減少されることが、年間の死亡災害発生件数の抑制に効果的なことから「冬季死亡災害防止強化月間」を設定し、墜落・転落、交通労働災害の防止を図る
  • 製造業での「はさまれ、巻き込まれ災害」防止のため、リスクアセスメント導入率向上と残留リスク低減措置の実施を推進
  • 陸上貨物運送事業の交通事故減少のため、警察等と連携した対策を推進するとともに、50歳以上の割合が高いことから、高年齢者の身体機能に配慮した安全衛生教育の実施等の徹底を推進
  • 陸上貨物運送事業における荷役作業中の災害防止については、荷役ガイドラインに基づき荷主等へ「安全study活動」を通じた安全対策の普及促進を図る

また、70歳までの就業機会確保が4月からスタートしたこともあり、高年齢労働者の災害防止も重要な課題となります。この点については、「エイジフレンドリーガイドライン」の周知を積極的に図るとしていることに注目しておきたいところです。「エイジフレンドリーガイドライン」は高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインとなっていますので、高年齢労働者を雇用する企業は確認しておきましょう。

まとめ

最後に、今回ご紹介した「令和3年度大阪労働局行政運営方針」の中で、特に注目しておいていただきたい点をピックアップすると次の通りです。

  • 女性・高齢者等の就業について重点的な取り組みを行うとしている
  • コロナ禍においても長時間労働等の過重労働が生じている事業場への集中的対応が行われる
  • 死亡災害の撲滅を筆頭に様々な施策が展開される
  • 「エイジフレンドリーガイドライン」の周知を積極的に図る

ページの都合上詳細まで書ききれない部分もあります。また、今回取り上げたもの以外にも多数の内容が掲載されています。大阪労働局の行政運営方針全体を確認されたい場合については、大阪労働局HPからご覧ください。