男性の育児休業取得促進へ、育児・介護休業法の改正ポイントと施行時期について

近年男性の育児休業取得率は上昇していますが、令和元年度でも7.48%となっており、その水準はいまだに低いものとなっています。少子高齢化による人口減少下において、男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が重要ですが、育児休業取得率は男女で大きな差が存在し、課題とされています。

こういった状況を受け、昨年から厚生労働省の労働政策審議会 雇用環境・均等分科会で男性の育児休業取得促進策などについて議論が行われていましたが、2021年4月、国会において、男性の育児休業取得を促進する育児・介護休業法の改正が可決されました。

改正内容のポイントとそれぞれの施行時期について

今回の改正内容のポイントとそれぞれの施行時期は以下の通りです。

①子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設 (施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みが創設されました。休業の申し出は、原則休業の2週間前までに行うこととされ、分割して2回まで取得可能となります。なお、労使協定を締結することにより、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能です。

②雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(施行日:令和4年4月1日)

育児休業を取得しやすい雇用環境を整備(研修、相談窓口設置等、複数の選択肢からいずれかを選択することとなる予定)しつつ、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置が必要となります。なお、個別周知の方法については、面談での制度説明、書面による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択することになる予定です。また、当然ですが、休業取得の意向の確認については、労働者に対し育児休業の取得を控えさせるような形での実施は認められないことも定められる予定です。

③育児休業の分割取得(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

原則分割することができない育児休業ですが、分割して2回まで取得可能となります。なお、この分割については、①の新制度とは別に行うことが可能です。

④有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件が緩和施行日:令和4年4月1日

有期雇用労働者の育児休業取得については、「引き続き雇用された期間が1年以上」・「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」ことの両方が求められますが、このうち「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件が撤廃されます。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することが可能です。

⑤育児休業の取得の状況の公表の義務付け施行日:令和5年4月1日

従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。なお、公表する内容についてですが、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」と省令で定める予定とされています。

就業規則や育児介護休業規程の変更は?

育児・介護休業法の改正に伴い、就業規則や育児介護休業規程の変更が必要になりますが、改正の詳細は追って省令等で定められるとされています。就業規則や育児介護休業規程の変更については、詳細を待って行うようにした方が良いでしょう。

厚生労働省から今回の改正の内容についての概要やリーフレットが公開されていますので、ひとまず担当者の方はその内容を確認し、全体感についての理解を深めつつ今後の対応やスケジュール等を検討していくことが必要かと思います。